2018年10月に自転車で四国のお遍路旅行をしてきましたので、お遍路旅行を行うに至った経緯や考えていたこと、実際の経過などを簡単にまとめてみました。

将来お遍路旅行を計画している方に少しでも参考になれば幸いです。

お遍路とは

四国にある空海(弘法大師)ゆかりの八十八箇所の寺院を巡拝することです。
一度の旅で八十八箇所のすべてを廻ることを通し打ち、何回かに分けて巡ることを区切り打ち、順番どおり廻るのを順打ち、逆に廻るのを逆打ちといいます。

私が今回行ったのは、自転車による順打ち・通し打ちです。
通し打ちで巡礼した場合の全長は経路などによりますがおよそ1200-1300km程になります。

自己紹介

東京都在住。自転車での小旅行が好きで首都圏内を主に首都圏内をあちこち走り回っています。
ただ自転車を専門にしたことはなく、自転車もロードバイクではなく専らクロスバイクです。

自転車によるお遍路旅行を決断するまで

自転車でお遍路をしている人がいるという話を初めて聞いたのは今から3,4年くらい前だったと思います。

自転車小旅行が好きで、特に何気ない様々な地域を走るのが好きな自分にとって、自転車によるお遍路(四国一周旅行)はとても魅力的に感じましたが、その時はあこがれるのみで実行しようという気は起きませんでした。

というのも、まず四国一周をする体力が自分にあるのかわかりません。そして関節や筋を痛めやすい体質のため途中でそのようなトラブルに見舞われたら、と考えるとどうしても二の足を踏んでしまいます。

そしてもう一つ。四国は東京から遠すぎました。四国に自転車を持っていく方法もよくわからず、それに遠い地方でパンクなどのトラブルがあったらどうするのか、泊まるところが見つからなかったがどうするのか、など当時の自分にはあまりに対応不可能なことがありすぎだったのです。

ですがその後、首都圏での小旅行の一環で輪行を覚え、タイヤのチューブ交換の方法も覚え、テントも購入して野宿も経験して、気が付けば自転車でお遍路旅行を行う上での技術的な課題はクリアしていました。

あとは体力ですが、今後体力が落ちることはあっても増すことはないでしょう。つまり今後を考えた時に今が一番のピーク。そして関節や筋も幸い今は小康状態。

ということで2018年の夏頃に自転車によるお遍路旅行の決行を決断。

時期は、暑すぎず寒すぎず台風や梅雨の季節でもないということで10月中旬としました。

なぜ自転車お遍路をするのか?

「四国の様々な場所を訪れたい。そして自分の力でお遍路(=四国一周)を成し遂げたい」ためです。

好きな自転車で様々な地域を走ってみたいという思いと、自分にとっては大きなことを成し遂げて達成感を得たいという思いとを両方実現できそうなのが、自転車によるお遍路旅行でした。

このような動機なので、正直言って信仰心的なものや宗教的な関心はあまり……ですが、作法などのお遍路文化はできる限り尊重してゆきたいと考えて挑みました。

今回のお遍路旅行の方針

もともとスポーツを専門にしているわけでもなく体力に自信があるとは言えないため、想定外の事態に体がついてゆかない可能性があります。

そこで今回の自転車お遍路旅行は、八十八か所の巡礼…四国一周を完遂することを最優先に考えることにしました。

具体的には、

寄り道は基本的にしない

まだお遍路にあこがれているだけの頃は、せっかく四国に行くのだからついでにあっちに寄ったりあれも食べたり、と夢見ていました。
実際はふらふらと観光をしたりしてもおそらくなんとかなると思いますが、余計なことをすればするほど想定外の出来事が起こる確率は高くなるので、今回はお遍路の経路上から著しく外れる観光は控えることにしました。

ホテル・民宿・宿坊等に宿泊する

テントによる野宿もやめて宿を取って、しっかりと体力の回復を図ることにしました。
宿はその日の進行状況によって当日に宿泊地を決めるというやり方の方が無駄なく無理なく走れるかと思いますが、当日宿泊先が見つからないという事態もありうるので、今回はそれまでの走行状況や体調や今後の札所の配置状況などを考慮して翌日の到達地を決めて予約を入れてました。実際に走ってみたら思ったよりスムーズに進めて「もっと先の街の宿にしておけばよかったなぁ」と思った日もありましたが、でも当日宿の心配をすることも全くなく走りに専念できたので結果的にこれでよかったと思っています。

寺院へのアクセス手段が別にある場合は利用する

寺院によってはロープウェイ・ケーブルカー・マイクロバスなどのアクセス手段が用意されています。そういった寺院では無理をせずに素直にそちらを利用することにしました。

夜間走行は極力避ける

街灯の少ない地域の夜道は本当に危ないので、予約した宿の関係で無理をしないとならない日をのぞいて16,17時頃には走り終えるよう予定を組みました。

サイクリング・参拝スタイル

自転車

TREKのクロスバイクです。
普段は前カゴを付けて近所のスーパーに買い物に行くのに使っています。スタンドももちろんサイドスタンドです。
タイヤとブレーキパッドがかなり擦り減っていたので、お遍路前に交換しておきました。

服装

参拝時は白衣を羽織って普通のお遍路さんスタイルで、移動時は白衣も脱いでお遍路さんぽくもなく、かつ自転車乗りっぽくもない普段着で走っていました。
ただお尻がいたくなりそうだったのでパッド付インナーパンツだけは今回のために購入して着用しました。

iPhone

自転車にスマホホルダーでiPhoneを備え付けて、Googleマップを常に表示させて現在位置と行き先の寺院とその経路を確認しながら走行しています。100%このGoogleマップを頼りに行動しているので、このiPhoneが動かなくなったり失ったりした場合はその時点で旅行は完全にストップ(お手上げ)となります。
なお最悪の場合に備えて「四国お遍路ひとり歩き同行二人[地図編]」という本を購入して持っていましたが、幸い使うことはほぼありませんでした。

バッグ

リアキャリアにオルトリーブのサイドバッグを付けています。
土砂降りの日もありましたが防水も完璧でした。

お遍路の経過

日数 日付 天気 訪問した寺院 宿泊地 移動距離(km)
2018年10月15日(月) 曇り (東京出発) (フェリー内)
1 2018年10月16日(火) 曇り 1番札所 霊山寺
2番札所 極楽寺
3番札所 金泉寺
徳島県板野町 25.6
2 2018年10月17日(水) 晴れ 4番札所 大日寺
5番札所 地蔵寺
6番札所 安楽寺
7番札所 十楽寺
8番札所 熊谷寺
9番札所 法輪寺
10番札所 切幡寺
11番札所 藤井寺
15番札所 国分寺
16番札所 観音寺
17番札所 井戸寺
徳島県徳島市 51.6
3 2018年10月18日(木) 曇り 14番札所 常楽寺
13番札所 大日寺
12番札所 焼山寺
18番札所 恩山寺
19番札所 立江寺
徳島県小松島市 70.9
4 2018年10月19日(金) 晴れ 20番札所 鶴林寺
21番札所 太龍寺
22番札所 平等寺
23番札所 薬王寺
徳島県日和佐町 61.8
5 2018年10月20日(土) 晴れ 24番札所 最御崎寺
25番札所 津照寺
26番札所 金剛頂寺
高知県室戸市 90.4
6 2018年10月21日(日) 晴れ 27番札所 神峰寺
28番札所 大日寺
29番札所 国分寺
30番札所 善楽寺
高知県高知市 92.2
7 2018年10月22日(月) 晴れ 31番札所 竹林寺
32番札所 禅師峰寺
33番札所 雪蹊寺
34番札所 種間寺
35番札所 清滝寺
36番札所 青龍寺
高知県四万十町 102.5
8 2018年10月23日(火) 37番札所 岩本寺
38番札所 金剛福寺
高知県土佐清水市 81.1
9 2018年10月24日(水) 晴れ 39番札所 延光寺
40番札所 観自在寺
愛媛県愛南町 83.6
10 2018年10月25日(木) 晴れ 41番札所 龍光寺
42番札所 佛木寺
43番札所 明石寺
愛媛県大洲市 91.8
11 2018年10月26日(金) 曇り 45番札所 岩屋寺
44番札所 大宝寺
愛媛県久万高原町 66.8
12 2018年10月27日(土) 晴れ 46番札所 浄瑠璃寺
47番札所 八坂寺
48番札所 西林寺
49番札所 浄土寺
50番札所 繁多寺
51番札所 石手寺
52番札所 太山寺
53番札所 円明寺
愛媛県今治市 81.8
13 2018年10月28日(日) 晴れ 54番札所 延命寺
55番札所 南光坊
56番札所 泰山寺
57番札所 栄福寺
58番札所 仙遊寺
59番札所 国分寺
61番札所 香園寺
62番札所 宝寿寺
63番札所 吉祥寺
60番札所 横峰寺
64番札所 前神寺
愛媛県新居浜市 80.4
14 2018年10月29日(月) 晴れ 65番札所 三角寺
66番札所 雲辺寺
67番札所 大興寺
70番札所 本山寺
68番札所 神恵院
69番札所 観音寺
香川県観音寺市 80.3
15 2018年10月30日(火) 晴れ 71番札所 弥谷寺
73番札所 出釈迦寺
72番札所 曼茶羅寺
75番札所 善通寺
74番札所 甲山寺
76番札所 金倉寺
77番札所 道隆寺
78番札所 郷照寺
79番札所 高照院
80番札所 国分寺
81番札所 白峯寺
82番札所 根香寺
香川県高松市 85.2
16 2018年10月31日(水) 曇り 83番札所 一宮寺
84番札所 屋島寺
85番札所 八栗寺
86番札所 志度寺
87番札所 長尾寺
88番札所 大窪寺
徳島県徳島市 99.8
2018年11月1日(木) 曇り (フェリー内) 6.7
2018年11月2日(金) 曇り (東京到着)

徳島市沖洲のフェリーターミナルを出発して戻ってくるまでの総移動距離は1253kmでした。なお移動距離は大半が自転車によるものですが、徒歩やロープウェイ・ケーブルカー・マイクロバスでの移動も含まれています。

かかった費用

  • 宿泊費  ¥76,300 (一部夕朝食費含む)
  • 交通費  ¥29,600 (フェリー・ロープウェー・駐車料など)
  • 飲食費  ¥31,500 (食事・飲み物・お菓子など。宿泊費に含まれる夕朝食費はのぞく)
  • 参拝関連費  ¥6,000 (白衣・袋・線香・ろうそく・お賽銭など)
  • その他  ¥5,300 (文房具・遍路地図・薬・スリッパなど)

計 ¥148,700 でした。

あと上記以外で事前準備として

  • 自転車関連 ¥30,600 (タイヤ・ブレーキパッド交換・ウェアなど)

がかかっています。

なお、いわゆる納経はしていません。
今回に限らず、私は神社巡りも好きでこれまでに1,500社ほど参拝していますが御朱印ももらったことがなく、そういった類に関心がないためです。

トラブル

幸い結果的に致命的なトラブルもなく予定どおりにお遍路旅行を終えることができましたが、大事に至らずにはすんだ小さなトラブルはいくつかあったので、参考までに書き残しておきます。

自転車ライトのバッテリー切れ

7日目、宿泊地の37番札所 岩本寺の宿坊を目指して七子峠越えをしていた時のことです。

すでに18時を過ぎてあたりはすっかり暗くなっておりましたが、七子峠を越えて後は下るのみ!というところで自転車のライトが消灯。バッテリー切れでした。

東京では自転車のライトは自分の存在を対向に知らせるためのものでしかなくライトなしでも(危険ですが)走ること自体は問題なくできますが、地方では前方の状況を視認する当にライト本来の役割を果たすものなのでライトが消えてしまってはとても走ることすらできません。

ということで真っ暗な中でバッテリーチャージャーで20分ほど充電して、走行を再開しましたが到達できずにまた消灯してしまったので再度10分ほど充電して、やっと目的地に到着することができました。

iPhone充電ケーブル破損

9日目。iPhoneの充電がいつの間にか中断するようになりました。

調べてみたところ、iPhone充電ケーブルのコネクターの金属被膜が剥げてしまったようです。ほぼ常にバッテリーチャージャーに接続して充電しながら路肩のでこぼこ道を走り続けているので剥げてしまうのも無理はないですね。


しかしiPhoneが充電できない(=使えない)というのは、iPhoneのGoogleマップのみを頼りに行動している自分にとっては旅行を中断せざるをえないレベルに致命的なことなので、急ぎ新しいケーブルを探すことに。

とはいえここは愛媛県愛南町。失礼ながらケーブルを売っている店を見つけるのは大変かな……と思ったらあっさり見つかりました。ダイソーが。

予備用も含めてケーブルを二本購入して無事解決です。

左膝裏の筋の痛み

11日目。45番札所の岩屋寺を目指して久万高原を走っていた時のこと。急に左膝裏の筋が痛みだして自転車を漕ぐこともできないくらいになり走行ストップ。

関節や筋を痛めやすい自分にとって、これは一番恐れていたことです。
この痛みが続くようならとても山道満載のお遍路を続けることはできないのでリタイア確定です。ただリタイアするにしてもすでに久万高原に入ってしまっているので、最寄りのJR内子駅に戻るのもなかなか難儀。進むも退くも地獄といったところでしょうか。

とりあえず30分ほど軽く揉んだりしつつ休んでからおそるおそる走行を再開。しばらくは左足はペダルに乗せる程度で右足だけで漕いでいたものの、山道なのでいつまでもそうしてはおれず次第に普通に漕ぐようになりましたが、その後は違和感は残っていたものの先ほどのような痛みはその日は再発せずに予定どおり久万高原も走りきることができました。

その日は10月下旬の朝寒いうちから高原を走っていて体がまだ硬かったのかもしれないなぁということで、一応対策を取りました。

・それまでは動きやすい七分丈のパンツを着用していたため膝が冷えたのかもしれないと思い、以後はロングパンツを着用
・準備運動をちゃんとするようにした
・宿や温泉でしっかり足を休ませて疲労をいやすよう意識した

次の日以降は、松山→今治間、今治→西条間の平坦な道を走っている時に微かに痛みを感じたもののそれもしばらくすると収まり、幸い上り坂などで痛み出すこともなく無事に全行程を走りきることができました。

再発した場合は本当にリタイアを決断せざるをえなかったので、この痛みが再発しなかったのはラッキーでした。

今治の宿が取れない?!

今回の旅行では、それまでの走行状況や体調や今後の札所の配置状況などを考慮して次の日の到達地を決めて宿の予約を入れてました。宿はまずネットの予約サイトで探して、適当な場所がない場合はそれ以外の宿坊や民宿を探していました。

12日目は久万高原からスタートし、松山に泊まると走行距離が物足りないので松山は素通りして今治まで走ってそこで宿泊することにしたのですが、今治市内のホテルを検索をしても空室が全く出てきません。値段を高めにして再検索してもやはり空室がゼロです。予約サイトのデータベースがおかしくなったか?と思いつつネットでの予約は諦めて電話予約で無事に宿泊先を押さえることができましたが、当日その宿の女将さんと話して理由が判明。

10/27-28に「サイクリングしまなみ2018」というイベントが開催されるために宿がことごとく埋まっていたようで、それを知らずに10/27に今治に泊まろうとしていたわけです。

その宿の予約が取れたのも、いったん埋まっていたところにたまたまキャンセルが出て空室があったからだそうで、もしこの日今治に泊まれなかったらかなり手前の松山に泊まることになり予定にかなり支障を来すことになったのであぶなかったですね。

個人的に大変だった札所

20番札所 鶴林寺 (4日目)

話は3日目に訪問した12番札所の焼山寺にさかのぼります。
焼山寺は前半最大の難所と言われており私は初めから自転車で目指す気はなく適当な地点に自転車を置いて徒歩で寺院を目指しました。実際自転車ではとてつもなくキツそうな傾斜で、とはいえ徒歩でもキツいことには変わりなくへろへろになりながら登っていたのですが、途中で自転車で下ってくる人を二人ほど見かけて「自転車でも大変だけど徒歩でも大変だから、次は下りが楽なので自転車で(自転車を押して)登ろうかな……」と思ったのです。

そして4日目の鶴林寺です。前日考えたとおりここは自転車で寺院まで行くことにしました。

鶴林寺も焼山寺に負けず劣らずの難所です。山に入った途端にとても漕ぐことはできなくなり自転車を押して進むことになったのですが、そこで初めで気付きました。とても重い荷物を自転車に積んでいて、そんな自転車を押して山を登るのがどれだけ大変なことかを……。

考えてみれば重い荷物を重力に逆らって持ち上げるわけですから当然なのですが、これほどの傾斜の坂を走ったこと(押したこと)がなかったために荷物の重さが自転車を押す際の負担になるという発想がなかったのです。

徒歩も大変だけど重い荷物を積んだ自転車を押して進む方がはるかに大変ということを、ここで初めて知ったのです。

しかし今更気付いても自転車を押してそこそこ登ってきてしまったのでもう最後まで行くしかありません。

力を抜いたらあっという間に転がり落ちてしまいそうな勾配の道を、もう道路に倒れ込むくらいの前傾姿勢になりながら必死に自転車を押して、数m進んでは息を整えつつゆっくりと進んでゆきます。残り2,3kmがとにかく長く感じました……。

時間はかかりましたが何とか無事に鶴林寺まで自転車で到達することができました。いやもう、これほど疲れ果てたのは何年振りだろうというくらい疲れ果てた。

私は私自身が写った写真をあまり撮りませんが、今回のお遍路旅行で3つの寺院でのみ自身が写った写真を山門前で記念に撮ってもらいました。1番札所の霊山寺、88番札所の大窪寺、そしてこの20番札所の鶴林寺です。

81番札所 白峯寺、82番札所 根香寺 (15日目)

14日目で香川県観音寺市の寺院を参拝し終えて、次の15日目の宿泊地は高松市しかないだろうなぁということで高松市街地のホテルを予約したのですが、そのため15日目はこれまでで最多の12寺院を周ることに。
ちょっと大変だけど無理な数ではないと思っていたのですが、当日想定外のことが起こりました。

今回のお遍路旅行では、記録目的と知人へ現在の状況を知らせるためにインスタグラムに逐次写真をアップしていたのですが、そのインスタへの写真のアップができなくなってしまったのです。はじめはインスタのサーバが重いのかなと思い、次に写真をアップしすぎて投稿制限に引っかかったのかなと思い、あれこれと試していたら気が付けばかなり時間を無駄に浪費してしまい、ついにこれ以上はインスタに構ってられなくなりインスタへのアップは断念することにして先を急ぐことにしました。

元々タイトなスケジュールだったこの15日目。しわ寄せは最後の81番札所 白峯寺と82番札所 根香寺にゆきます。どちらもかなりの山の上にあるのですが、 まず白峯寺への山登りを開始するのが15時頃になってしまいました。

白峯寺への道は自転車も十分漕ぐことのできる傾斜です。ただしかなり蛇行して緩い勾配となっているためで直線距離の割に走行距離が意外と長く、そしてひたすら上り坂が続くので着実に疲弊してゆきます。でも門限が迫っているので下手に休んだり時間をかけて進むというわけにもゆきません。

15時頃に山を登りはじめて16時に白峯寺に到着。いつもどおりに参拝しているとこの先間に合わなくなるのでここだけは手順を一部省いて、16時10分には白峯寺を出発して次の根香寺に向かいます。

白峯寺から根香寺までは8km超。Googleマップを見るとここから白峯山、猪尻山、大平山の三つの山越えをしないとなりません。それにもしかしたらその後も根香寺に向かって上り坂が続くかもしれません。山越えなので先ほどの白峯寺への道と違って一部下り坂があるのが幸いですが、それを考慮しても残り時間的に厳しい!

もし根香寺に門限があって今日その門限に間に合わなかったら、明日高松市街地から再度ここまで登ってこないとならなくなってしまう……。

必死に漕ぎまくった結果、16時40分になんとか根香寺に到着しました!大平山を越えて以降は下り坂だったので助かりました。もし大平山越えの後にも上り坂があったらアウトだったかも?

ということで、次の日に再訪問という事態は避けることができました。

この白峯寺と根香寺は時間に余裕があればそれほどでもないのですが、私の場合は時間が迫っていたためとにかく急がないとならず、今回のお遍路旅行の中で鶴林寺に次ぐキツさでしたね……。

ちなみにインスタの方は、宿に着いてからいったん削除して再インストールしたところ元どおり使えるようになりました。単に端末側(ソフト側)の不具合だったようです。

自転車お遍路旅行を終えて

磯に荒々しく打ち寄せる南海の海岸線を走り、ゆったりと時が流れる山間の集落の中を走り、日中も木々に覆われていて微かに木漏れ日が差すのみの林道を走り……。

四国の様々な街、山中、海辺や川辺などを訪れたり走ったりして、その光景を目にし空気を肌で感じることができました。それはもう私が期待していたとおりの出来事でした。

そして何より、自分の力で四国一周をすることができました。

これらすべて、お遍路という文化があったからこそ実現しえたことです。

これまで書いてきたとおり、私には宗教的な動機もあまりなかったし、人とのつながりも積極的には求めていなかったし、実際普通の旅行にかなり近いものでしたが、現在のお遍路文化にはそんなカジュアルな訪問者も受け入れる懐の深さがあるように感じました。

このような機会を与えてくれたお遍路文化に感謝します。